著名人対談


vol.24

トップリーダーが持つ
「判断力」の源にある
宗教的価値観

橋本徹(株式会社日本政策投資銀行 相談役)
1934年11月19日岡山県高梁市生まれ。
富士銀行頭取(現みずほ銀行)、ドイツ証券会長、国際基督教大学理事長を歴任。株式会社日本政策投資銀行 元社長(平成23年~平成27年)当時は、東日本大震災復興支援の強化に尽力。国連認定の平和活動団体である国際IC日本協会名誉会長。
橋本徹氏 × 青木仁志 アチーブメントクラブニュース vol.148より

1934年11月19日岡山県高梁市生まれ。
富士銀行頭取(現みずほ銀行)、ドイツ証券会長、国際基督教大学理事長を歴任。株式会社日本政策投資銀行 元社長(平成23年~平成27年)当時は、東日本大震災復興支援の強化に尽力。国連認定の平和活動団体である国際IC日本協会名誉会長。

2500億円以上の損失の危機で下した判断

橋本一つ、信仰がいかに私の決断に影響を与えたかについての例をお話させていただきます。 私が富士銀行の頭取になりましたのは、バブル崩壊直後の1991年の6月でした。その翌月に、赤坂支店の課長級行員2人がお客様に依頼され、定期預金証書を偽装し、お客様がその預金証書を担保に、ファイナンス会社から巨額の融資を引き出したのです。これが「架空定期預金事件」と呼ばれる不祥事でした。 その結果、2570億円の払い戻しとなってしまいました。私は当然ながら、払い戻しには応じようと思いましたが、新聞がその不祥事を発表前にスクープ。激しい責任追及となりました。 同年の8月に衆議院の予算委員会に参考人として呼ばれ、9月には参議院へも行きました。調べてわかった事実をすべて話すことを決意しましたが、もちろん怖さもありました。国会へ出向く前、頭取室のドアを閉め、神に問いかけました。「力の及ぶ限り、すべてやりました。でも、何を答えたらいいのでしょう?」。そんな問いかけに、「話しなさい。私が力になります。自分の知っていることを話し、知らないことは、正直に『わからない』『答えられない』と言いなさい」と語りかけてくれました。 すると不思議なほど心が落ち着き、堂々と立ち向かうことができたのです。特にピンチや、逆境の時ほど指針が得られたと思います。

橋本徹 青木想像を超えるほどの大きな決断ですね。不祥事の際にどのような対応を取るかが、「リーダーとしての本当の姿」が出るのだと思います。橋本相談役が、頭取になった直後の出来事ですので、それ以前に何か不祥事が起きてしまう要因となるものがあったのでしょうか。

橋本おっしゃる通りです。当時はバブル最盛期だったこともあり、競合に負けまいと、「収益至上主義」がコーポレートカルチャーになってしまっていました。ときには「出陣」と称して、ライバル銀行の旗を踏みつけていくこともありました。「収益さえあげればいい」「他者を蹴落として競争に勝つ」といった姿勢を私は支店長会議で何度も戒めていましたが組織風土はますますそうした方向になっていました。その結果があのような事態を招いたのだと思います。 そこで私が掲げたのが、「お客様第一主義」です。実はこれも聖書の教え、「神を愛し、人を愛する」から来ています。企業経営に当てはめると、「人」というのは、従業員、取引先、お客様、株主に当るわけです。その方々に貢献していくことが主たる目的であり、「人を愛する」とは、人に仕え、奉仕する立場で臨むということなのですね。  ですから、「銀行は格闘技のように『相手に勝つ』ことが目的ではなく、『演劇』『音楽』のように、よいサービスを提供し、その対価で収益を上げることである。私たちは、喜ばれるサービスを提供していくことに集中する」と方針を転換したのです。 その方針のもと、お客様の声を聴く施策を様々実施しました。やはりトップが掲げる方針は非常に重要で、組織が良い方向に変化していくことには時間を要しませんでした。

青木他者に勝つためではなく、顧客の満足の結果として祝福である経済的発展があるということでしょう。私も「利益は目的ではなく結果である」とお伝えしてきました。

橋本その通りです。「収益至上主義」の上では、短期的には確かに発展するかもしれませんが、まず間違いなく長期的な発展はありえません。

青木先ほど私が申し上げた、黄金律、すなわち「何事でも他の人々からしてもらいたいと望む通りのことを他の人々にもそのようにせよ」という基本的な『価値観』が、判断の基準になったということですね。

これからのリーダー像、「サーバントリーダー」

木俣ここまで価値観がリーダーの判断にもたらす影響についてのお話がありました。橋本相談役が大組織を率いてこられたこれまでのご経験をふまえ、リーダーとしての哲学はどのようなものがあるでしょうか。

橋本私は、リーダーの理想形は「servant leader(サーバントリーダー)」だと思っています。servantとは、日本語訳で「召し使い、使用人、(神・芸術などの)しもべ」の意です。 これまでのリーダー像は、一般的に「指示・命令型」が多かったように思います。しかし、サーバントリーダーとは、他者に対する愛を持ち、奉仕するリーダーのこと。そしてその思いを土台にしたマネジメントをするリーダーです。先ほど述べた、資生堂の池田守男さんはこのサーバントリーダーシップを掲げていらっしゃいました。 従業員が企業で自己実現をしていくために尽くし、そしてそのための支援を惜しまないことが組織の発展には重要だろうと思います。その過程で会社の業績は必然的に良くなっていくのです。こうした考え方は、言葉は違えど青木さんの『クオリティ・カンパニー』に書かれている通りですね。私は「部下が自己実現できるように手助けできるサーバントでありたい」と常々考えてきました。このリーダー像を理想とする考えも、聖書の「神を愛し、人を愛する」、から来ていると思いますね。

青木私も自らの社長室に、「人生とは神が私を通して何かをする場である」という言葉を掲げ、謙虚さを忘れないようにしています。社員は天から与えられた存在ですから、橋本相談役がおっしゃるように、社員の自己実現の舞台をいかに用意できるかが企業経営者に求められるでしょう。そして、『人を大切にする経営』が長期的な発展を導くのです。 サーバントリーダーの反対である「命令型」の外的コントロールに基づいたマネジメントは一掃しなければなりません。

橋本企業の経営者は例えて言うとオーケストラの指揮者のようなものです。指揮者はそれぞれの演奏者が力を発揮できるよう個性や才能を見極める必要があります。それが適切に配置されたときに、素晴らしい音楽・観客の感動が生まれます。結果として、利益が得られるのだと思いますね。

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