著名人対談


vol.44

激動する時代に 人々を導く リーダーの条件

下村博文(元文部科学大臣/衆議院議員 )
群馬県生まれ。早稲田大学教育学部を卒業し、1989年東京都議会議員に初当選。自民党都連青年部長、都議会厚生文教委員会委員長などを歴任し2期7年を務め、96年第41回衆議院総選挙において東京11区より初当選。18年6月時点で8期目。12年第2次安倍内閣発足時より文部科学大臣を務め、その他に内閣官房副長官、文部科学大臣、教育再生担当大臣などを歴任。18年自由民主党憲法改正推進本部長に就任。9歳の時、父の交通事故死により生活苦となり、高校・大学を奨学金で卒業した経験から、「あしなが育英会」の副会長を務めている。
下村博文氏 × 青木仁志 アチーブメントクラブニュース vol.157より

群馬県生まれ。早稲田大学教育学部を卒業し、1989年東京都議会議員に初当選。自民党都連青年部長、都議会厚生文教委員会委員長などを歴任し2期7年を務め、96年第41回衆議院総選挙において東京11区より初当選。18年6月時点で8期目。12年第2次安倍内閣発足時より文部科学大臣を務め、その他に内閣官房副長官、文部科学大臣、教育再生担当大臣などを歴任。18年自由民主党憲法改正推進本部長に就任。9歳の時、父の交通事故死により生活苦となり、高校・大学を奨学金で卒業した経験から、「あしなが育英会」の副会長を務めている。

文部科学大臣として教育改革を主導した下村博文氏と、青木仁志の共著、『志の力』。
JCのOBである二人が、日本JC第67代会頭、池田祥護氏を交え、書籍をもとに人々を導く指導者が持つべき「指導者の哲学」について語り合った。

青木今回は元文部科学大臣の下村博文氏と公益社団法人日本青年会議所(以下、日本JC)第67代会頭、池田祥護氏にお越しいただきました。

池田 貴重な機会をありがとうございます。JCの先輩でもあるお二人の共著『志の力』を拝読いたしました。大変僭越ながら、私の強い思いを先輩方のご経験などを込めて伝えられており、深く感銘を受けました。

青木 池田会頭のご就任にあたっての意見書と通じるところがかなりありましたね。

池田 はい、大変共感しながら拝読いたしました。下村先輩と青木先輩は、それぞれ政界と財界の立場から教育再生をリードしてこられました。お二人のJCの活動はどのようなものでしたでしょうか。

下村 入会したのは28歳の頃でした。学習塾経営の傍らでミニコミ誌を発行していましたが、その取材の一環として、東京JCのあるブロックが主催する、東京5区の教育長を集めた会合に行ったのが出会いです。会合自体よりも、自分とほぼ年齢が同じ方々が、社会のためにこうしたことを企画し、積極的に未来を考えている。そうした志を持った人が集まっていたことに驚きましたね。

青木 私が入会したのは34歳の頃、知人の紹介で入会しました。その後に教育部会の部会長を務めました。部会の活動の中では、オーストリアのウィーン大学やアメリカのハーバード大学を訪問するなどたくさんの学びがありましたが、当時は、創業して間もない時。必死に資金繰りに奔走していた時代ですから、JC活動と並行するのは大変でしたし、苦しかったですね。しかし、そのときの仲間とは、今でもお付き合いが続いています。実際下村さんと知り合ったのは、JCでした。

下村 今でも青木さんと笑うのですが、当時の青木さんは少し「うっとおしかった」ですね(笑)。そして、おそらく私もそういったところがあったと思います。というのも、私は父を交通事故で亡くし、母が女手一つで育ててくれ、公立高校に行くのも苦労したぐらいです。青木さんも幼少期から貧困の中で苦労されました。 青木 お互いのそんな生い立ちもあり、それぞれ仕事に必死な状態でした。だからあらゆる面で余裕がなかったですね。

下村 そうですね。欧米の成功哲学をもとに自己実現をしようとしていた若き時代でしたから、今と比べたら、「どうしたら成功できるか」ということしか頭になかったのかもしれません。そうした余裕のなさが、周囲からしたら決して気分のいいものではないと。

池田 欧米の成功哲学を使ったお二人の自己実現の流れは、『志の力』の中にも書かれていますね。

下村 まさに書籍を書いた理由につながるのですが、欧米の成功哲学は個人がいかに成功していくかという意味では大変重要な理論です。しかし、そうした個人的な自己実現を果たすだけでは人間は真の成功、そして幸福を得られないと述べています。書籍にも書きましたが、これからの時代はAIが発達し、シンギュラリティの時代に入ると言われています。これまでは暗記・記憶型の教育でしたが、今の大学入試で問われているような能力はこれからの時代では通用しないでしょう。そうした大きく変化する時代で持つべき能力には3つあるといわれています。まず無から有を生む企画力・想像力とも言える「クリエイティビティ」。次に集団を統率していく「ガバナビリティ」、最後に「ホスピタリティ」です。これらはAIでは代替が難しく、人間にしかできません。

池田 多くの人が集まれば多種多様な意見が飛び交います。それをいかにまとめるかという点で、ガバナビリティを身につけるためにも、JCはうってつけの場所だと思います。

下村 JCのメンバーは、自社に戻れば経営層の方がほとんどです。もし自社内に留まっていたら「お山の大将」で終わってしまう可能性もあるでしょう。しかし、JCの活動では、自社内での役職は関係なく、あらゆる業種の方と利害を超えた活動を共にやっていかなければいけません。私もそれによってJCの人間関係でも衝突することはありましたが、それが大きな成長に繋がりましたし、貴重な財産になったと言えますね。私が政治の世界に出るときにもJCの関係者の方々がたくさん支えてくれました。JCの活動というのは志ですよね。それは夢とは違う。夢というのは個人的な願望や自己実現を言いますが、志に生きるとは、自分という存在が地域のため、国のために、何をなし得るかということにビジョンをもち、それに向かって行動することです。そうした集団の中で自己を磨くことは大きな価値があるでしょう。

青木 そうした志が高ければ高いほど、大きければ大きいほど、それは一人では絶対に実現できませんね。アメリカの鉄鋼王であり大富豪でもあるアンドリュー・カーネギーの墓碑には次の言葉が刻まれています。〝己よりもすぐれた人と働く技をもつ者、ここに眠る〟。カーネギーは「他の人の力を活用する達人」だったということですね。

池田 ドラッカーも「この言葉ほど大きな自慢はない。これほど成果を上げるための優れた処方はない」と述べています。

青木 ドラッカーの評価の通り、これはカーネギーの成功の最大の要素だったと言っても過言ではありません。私もこの言葉は「経営の極意」だと思いますし、あらゆる組織における指導者論においても大変重要なポイントでしょう。

下村 オリンピックのメダリストの方々も「強力なサポーター」がチームとなることで選手の成果を支援するわけですからね。

青木昨今、巷で「これからは組織が不要になる」という主張が多くあります。もし個人的な自己実現だけを求めるのであれば、たしかに組織を作る必要はないでしょう。しかし、組織は「一人ではできないことをする」ために存在します。その一人ではできないことこそが、志です。池田会頭のお父様も、地元の新潟で不可能と言われたプロサッカーチームの大発展を作り出されています。

池田 ありがとうございます。個人でもたしかに会社はできます。しかし、そこに社員が100人いたら、1000人いたら、関係する人々を含めて、10万人いたら、その可能性はもっと広がります。地域、日本、世界、そして人類を変えていく力というのは仲間をどれだけ集められるかにかかっていると思います。

下村 いち個人の自己実現というのはたかが知れています。しかし、より多くの人が志に賛同し、共感し、ともに実現しようという状態になったときに、世の中や世界を変える規模の力が生まれます。その規模の志実現に向かっている人は、社会のより多くの人の成功と幸福を作ろうとしているわけですから、自分たちの生きがいにもつながります。

青木そういった意味で、「志の力」というのは、志を持つことで自分が困難を乗り越えることや、周囲の真の成功と幸福につながるという意味もありますが、一人ではできない組織のベクトルを統合するのも〝志の力〟だといえるでしょう。組織は、目標に集うのではなく、理念・目的・志に集います。そうした志が衆知を集め、人々の生きがいを生み出すのです。下村さんも選挙という協力者なくしては結果を残せない世界で生きてこられましたから、実体験も多いのではないかと思います。

下村 そうですね、リーダーはとにかく志を確立することからです。政治だけにかかわらず、その志の中身が問われると思います。

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