著名人対談


vol.7

組織変革を生み出す“CFT”と実践の
要諦

嘉悦朗(横浜マリノス株式会社 代表取締役社長)
1979年、一橋大学商学部卒業後、日産自動車株式会社に入社。1999年のカルロス・ゴーン氏のCOO就任後は、人事部主管、組織開発部主管、理事、執行役員を歴任。日産V字回復を実現した「CFT」の主要メンバーのひとりとして活躍した後、CFTの応用版=部・課レベルの改善力を高めるツールとしての「V‐up」の開発と浸透の責任者を歴任。その後、本社移転プロジェクトのリーダーとして手腕を発揮した。2009年、横浜マリノス株式会社の経営に就く。翌年、観客動員数を前年度から16%増加させるなど、矢継ぎ早に改革を実施してきた。横浜マリノスは、小学校におけるサッカー教室の開講数がJリーグトップクラスを誇るなどホームタウン活動を長く広く深く実践。主宰するフットボールアカデミーは3700人もの生徒数を誇り、マリノス所属選手をはじめ、多くのJリーガーを輩出している。
横浜F・マリノスオフィシャルサイトhttp://www.f-marinos.com/
嘉悦朗氏 × 青木仁志 アチーブメントクラブニュース vol.198より

1979年、一橋大学商学部卒業後、日産自動車株式会社に入社。1999年のカルロス・ゴーン氏のCOO就任後は、人事部主管、組織開発部主管、理事、執行役員を歴任。日産V字回復を実現した「CFT」の主要メンバーのひとりとして活躍した後、CFTの応用版=部・課レベルの改善力を高めるツールとしての「V‐up」の開発と浸透の責任者を歴任。その後、本社移転プロジェクトのリーダーとして手腕を発揮した。2009年、横浜マリノス株式会社の経営に就く。翌年、観客動員数を前年度から16%増加させるなど、矢継ぎ早に改革を実施してきた。横浜マリノスは、小学校におけるサッカー教室の開講数がJリーグトップクラスを誇るなどホームタウン活動を長く広く深く実践。主宰するフットボールアカデミーは3700人もの生徒数を誇り、マリノス所属選手をはじめ、多くのJリーガーを輩出している。
横浜F・マリノスオフィシャルサイトhttp://www.f-marinos.com/

経営者の役割は社員の可能性を信じ、引き出すこと

嘉悦朗氏 嘉悦私自身の経験から、特に企業を変革しなければならない焦眉の課題がある時、あまり早い段階から、壮大なビジョンを語ることは控えたほうがいいと思っています。志の高い社員ほど、そういう美しいテーマに飛びついてしまいがちで、目の前の地味なコスト削減などから目をそむけてしまう恐れがあるからです。日産のケースで言うと、日産という船で大きな火災が発生し、このままでは船が沈むのも時間の問題という大変な時に「この船はそもそもどの方向に向かおうとしているのか、納得のいく説明をして欲しい」という社員がいたんですよ。気持ちは分かりますが、そういう議論をしている間にも延焼は進み、船は沈んでしまいます。まずは、目の前の火を消すことに全社を集中させることが必要です。そして、こうした喫緊の課題を全員で解決することがひとつの成功体験として共有され、これが次のより高い目標にチャレンジする上でのモチベーションや自信にもなります。そうなった段階で、将来に向けた壮大なビジョンを語り、共有するのが手順としては有効だと思います。

青木成功体験が勝ちパターンになっていくんですね。マリノスには、日産でのご経験をどのように転用されたのですか?

青木仁志 嘉悦私が就任した直後のマリノスは、80年代から90年代の日産に似ていて、かつての名門の輝きを失いかけていました。過去、日本一に3度輝いた成績は中位(7位から10位)にまで後退し、売上も右肩下がり。明らかな負のスパイラルに陥っていたんです。これを反転させるには、まず売上を右肩上がりに変える。そしてこれを原資に適正な投資(チーム強化)を行い、成績を上位に戻して、さらなる売上拡大につなげるという「正のスパイラル」への転換を図ることが必要でした。そのための最大のチャレンジは、「いかにしてスタジアムにお客様を呼び戻すか」ということでした。これを解決するために3つのCFTを立ち上げました。ホームタウンにおける認知度・好意度を上げるチーム、効果的なプロモーションを検討するチーム、そしてスタジアムでのホスピタリティを改善するチームです。この3つの課題領域で効果的な方策を打てば、間違いなくお客様は増えるというロジックが背景にありました。目標は前年比20%増、1試合平均26000人としました。これには2つの意図があります。まず、増加率ですが、5%増程度の目標では革新的なアイデアは生まれません。従来のやり方では到底届かないようなインパクトのある目標であることが必要です。同時に目標値は、社員から見て共感、確信ができる水準であることが望ましいと考えます。26000人というのは、実は過去一度だけ達成したことのある数字です。従って社員の間には、達成できない数字ではないという確信のようなものがあったと思います。実際、3つのチームが活動を始めて1か月半で55個の斬新なアイデアが出てきました。私はこれらを1時間で意思決定し、早速実行に移しました。結果は、残念ながら20%には届きませんでしたが、Jリーグ全体が集客を減らす中にあって、16%強の増加を達成し、マスコミにも大いに注目されました。

青木CFTの有効性がよくわかりますね。ところで嘉悦社長自ら、CFTのノウハウを応用した新たな課題解決の仕組みを開発し、日産グループ内に浸透させてこられたとお聞きしていますが。

嘉悦朗氏 × 青木仁志 嘉悦はい。日産自身がそうですが、目標を達成し続けると、新たな目標の難易度が当然上がっていきます。従って、組織の実行力、課題解決能力を高めていかないと計画は空回りしはじめます。日産では、CFTや事業計画からブレイクダウンされてきた、部や課のレベルでの難易度の高い課題を解決するために「V‐up」という新たな改善のスキームをつくりました。ひとことで言えばCFTの小型版です。CFTの良いところ、つまり多様なメンバーの知恵で解決するという構造はそのままに、より効率的・効果的に課題を解決するためのツール、例えば統計分析やプロセス分析の手法を40種類以上パッケージ化し、これを使いこなせるようトレーニングを施すという特徴を追加したものです。V‐upはすでに世界28か国に広まり、2010 年の時点で1万数千人のトレーニングを完了しました。彼らは3万件を優に超える課題を解決し、3千億円を超える効果を生んでいます。
日産は、昨年度、純利益でトヨタを抜きましたが、13年前には倒産の危機に瀕した日産が、超優良企業のトヨタの利益を上回る日が来るなど想像もしていなかったことです。日産は、トップを含むマネジメント層の一部は入れ替わりましたが、社員の多くは昔からいる人達です。にもかかわらず、これだけの劇的な変化が生まれたのは、それまで眠っていた社員の能力を100%以上引き出すことに成功したからにほかなりません。そういう経験を踏まえて、改めて経営者や管理職の役割を私なりに定義させて頂くなら、「社員の能力は無限大という前提に立ち、彼らの能力を最大限に引き出すこと」に尽きると思います。使い古された表現ですが、「企業は人なり」という言葉を改めて実感する毎日です。

青木本日は、日産復活の舞台裏という非常に貴重なお話を拝聴させていただきありがとうございました。また、社員の可能性を信じ、引き出すことがリーダーや経営者の務めであるということを改めて感じることができました。今後も、嘉悦社長のご活躍をお祈りしております。ありがとうございました。

嘉悦ありがとうございました。

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