三和建設株式会社
代表取締役社長 /一級建築士

森本尚孝

1971年京都生まれ。大阪大学工学部建築工学科卒業、同大学院修了。大手ゼネコン勤務を経て、2001年、「サントリー山崎蒸溜所」をはじめ大手企業の建物・工場等を60年以上にわたり建設してきた三和建設株式会社に入社。2008年、4代目社長に就任。長年にわたり培ってきた豊富な実績を生かし、「単なる建設」を越えた、「顧客の真の要望とメリットを最優先した価値提案」にこだわり続ける。Great Place to Work® Institute Japan が実施する2016年版「日本における働きがいのある会社」ランキングにて2年連続でランクインする。著書に『「使える建物」を建てるための3つの秘訣』(カナリア書房)。

社員の働きがいを生む“人づくり”普遍の法則

Great Place to Work® Institute Japanが実施する「働きがいのある会社ランキング」。2年連続でランクインしたのが大阪に本社を置く三和建設株式会社である。そこで今回は、同社の代表取締役社長の森本尚孝氏と、初参加で歴代最高順位にランクインしたアチーブメント株式会社の青木仁志が社員の働きがいを高める施策と人づくりの普遍的な法則について語った。

青木仁志
青木

「働きがいのある会社ランキング」2年連続のランクインおめでとうございます。

森本尚孝氏
森本氏

ありがとうございます。社員がそう感じてくれていることへの感謝が大きいですね。

青木仁志
青木

御社も弊社も、特にそのランキングを意識した取り組みをしていないのにランクインしたということは共通していますね。ただ、「社員の働きがい」を高めることは多くの経営者が関心を持っていると思いますので、御社の、内発的動機付けに基づいた施策や仕組みづくりをお伺いできればと思います。具体的にはどの様なものでしょうか。

 青木仁志

森本尚孝氏
森本氏

現在進めている施策として若手有志による委員会活動があります。テーマとしては、例えば「社内マナーの改善」があります。建設会社にはどうしても「男っぽい・荒っぽい」イメージがあるため、幅広い方に「感じのいい会社」だと思っていただくためのものです。また、建設現場は「埃っぽい」というイメージもあります。したがって、建設途中の美観や気持ちよく働ける環境、お客様がご覧になっても安心していただける“きれいな現場づくり”を行うなど、これら2つの取組みを若手社員が主体的に推進しているところです。

青木仁志
青木

若手の方にお任せになるのは、適任かもしれません。若手の方が今後も主体的に改善していく習慣を身につけるための良い機会になるでしょう。まさに御社が掲げる「つくるひとをつくる」という理念があらゆる部分に出ていますね。この理念にはどんな思いがあったのでしょうか。

森本尚孝氏
森本氏

この言葉として明文化したのは最近ですが、考え方は創業以来のものです。色々な建物を建設していても、すべての根幹を創っているのは人。そして弊社はその「人」をつくっているという事実があり、信頼をベースにしたお客様との関係をつくり、維持することで、70年の社歴を刻むことが出来たと考えています。技術に注目しがちな業界ですが、人が主役であるという意識づけを全社員が意識できていると実感しますね。

青木仁志
青木

していても、すべての根幹を創っているのは人。そして弊社はその「人」をつくっているという事実があり、信頼をベースにしたお客様との関係をつくり、維持することで、70年の社歴を刻むことが出来たと考えています。技術に注目しがちな業界ですが、人が主役であるという意識づけを全社員が意識できていると実感しますね。

森本尚孝氏
森本氏

日報というのはどうしても部下から上司への一方通行になりがちです。当社では報告だけに終わらず、考えていること、悩んでいることを含めて記入し、全社員に公開・共有する仕組みにしています。現在は試行錯誤の段階ではありますが、社員全員がオープンにしています。これによって、周囲がサポートしながら、上司と部下の硬直化した関係だけでは言いにくいことも解決の糸口が見つかればと、取組んでいるところです。また、『提案公募制度』と呼ばれる制度を実施しています。これは全社員から、業務改善、業務効率化、経費削減などにつながる提案を募集し、採用者には報奨金が授与されると言う制度ですが、言い換えれば、「よりよい企業づくりに全ての社員が貢献することができる」ということです。私の考える「働きがい」の核の部分は、自分が会社の原動力、あるいは何らかの貢献ができているという、実感があるかどうかだと思っています。つまり「自分の発言や行動が組織に影響を与えている」という感覚が、「働きがい」を高めていくと思うのですね。

青木仁志
青木

素晴らしい取り組みですね。自らが常に経営に携わっているという自覚を育むということだと思います。

組織のベクトルを 一つにする 『理念ブック』

青木仁志
青木

チームワークを醸成する役割を日報に付加し、提案公募制度の目的は自己重要感を得る仕組みということですね。チームワークというのはお互いが力を合わせて、全体勝利・全体達成に向かうことだと思います。目に見えるものだけでなく、目に見えない働く人のモチベーション・やりがいという視点で、部下の話をよく聞く、そして正当な評価をすることが重要になってくるでしょう。そうしたチーム作りには、会社のバイブルとも言うべき『コーポレートスタンダード』を理念体系として示すことで大きな意義がありそうですね。

 森本尚孝氏

森本尚孝氏
森本氏

おっしゃる通りです。小冊子『コーポレートスタンダード』は、青木社長のご厚意を得て、ネーミングも含め御社の取り組みをそっくり真似させていただきました。経営理念・ミッション・ビジョン、そして行動指針や各部署の方針、具体的な計画などが示されていますが、「コーポレートスタンダードには、会社の方針が明文化されている」と安心感があるというのは非常に大きいと思います。例えば、新卒採用にて学生から「御社はどういう方針ですか?どういう強みがありますか?」と質問を受けた際には、これまでは担当者がそれぞれ思いつくままに答えていました。それが、コーポレートスタンダードに書いてある共通の言葉で「ここが強みです」「これが弊社の大切にする価値観です」と自信を持って言える、またそう言える自分に自信を持てるという効果は非常に大きいと感じますね。

青木仁志
青木

やはりそのためには、経営者が腑に落として納得した理念・ビジョンを出す必要があるでしょう。「経営者の理念への確信の度合い」が社員の会社への確信と誇り、もっと言えば「働きがい」へと繋がっていくと思います。

森本尚孝氏
森本氏

おっしゃる通りです。あとは、何か新しい施策を行うときにも、多くの社員が「できない」といった否定的解釈ではなく肯定的に解釈できるようになってきたことも大きいと思います。幹部が『頂点への道』講座を受けたことで意識が変わった部分も大きいと感じますが、弊社の理念が明確に示せているという部分もあるかもしれません。経営者が判断するときに、「これは理念から来る判断だ」と迷いがなければ、「なぜこの施策は必要なのか」を経営者が信念をもって伝えられますから、それが結果として、社員の“確信”に変わっていきます。そのためには、「なぜ社員は何度言っても分からないのか」ではなく、「社員が分かるまで経営者が価値や意義を繰り返し、繰り返し伝えていく」という考えの転換が必要かもしれません。

青木仁志
青木

経営者の考えが、理念の浸透や社員の自信など、総合的な「働きがい」を決めていきます。ここまでいろんな施策をお伺いしてきましたが、その土台にあるのは、「社員はどういう存在なのか」という経営者の思いが重要になってくると思いますが、森本社長はどうお考えでしょうか。

森本尚孝氏
森本氏

家族と言う観点もあると思いますが、私は共通の目的を実現するため、思いを一つにする“同志”だと考えています。

青木仁志
青木

世の中には、口では「社員を大切にする」と、うまいことを言いつつも「社員はコスト」だと見ている経営者もまだまだ多い現状です。私も社員は“同志”だと常々主張していますが、言い換えれば、社員は「あなたが成功させたい人で、その人の成功があなたの成功となる人」である、『パワーパートナー』だとも言えます。この意識を持つことが、働きがいを自然と高める仕組みに繋がり、さらには企業の大きな業績に繋がるという認識をもつことは、これからの中小企業経営者が持つべき重要なポイントだと思います。

「働きがい」を持つ 同志を集める

森本尚孝氏
森本氏

働きがいのある会社ランキング」についても、どんな人にとっても働きがいのある会社という意味ではなく、「働きがいのある会社だと感じている社員を集めている会社」という意味だと言えるでしょう。そのために弊社でも、御社の力も借りながら新卒採用に取り組んできましたが、理念共感型人財をいかに集めるかが発展の鍵になってくると確信しています。今後100年企業に向けて、持続的で安定した成長を目指すためにも、新卒採用で、理念に共感した人財をこれまで以上に充実させていく必要があると考えています。

青木仁志
青木

まさに本質と言える視点かもしれません。企業の目的と自分の人生の目的をいかに一致できる人財を集めるかは発展の鍵ですね。最後に、クオリティ・カンパニーを目指すための、経営者としての心構えを教えていただけますでしょうか。

森本尚孝氏
森本氏

まず、第一に率先垂範で事に当る行動力が必要であると思います。経営者は「こんなに24時間考えているのだから、社員は自分の考えに従え」と思ってしまいがちです。しかし、社長は好き放題して社員には行動を強制しても、当然ながら人はついて来ません。したがって、「いかに日々、自問自答し、行動を律するとともに、自らが常に成長していけるか」が経営者として常に意識している部分ですね。

 森本氏

青木仁志
青木

企業はトップで決まる、そのために絶対に不可欠な心構えですね。今回は、「働きがい」と言う観点で具体的な施策からお話をお伺いしましたが、その根底にある共通の思いについて確認できました。特に、中小企業経営者の方々の指針となれば幸いです。

森本尚孝氏
森本氏

私も深い学びとなりました。ありがとうございました。

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